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★大島永遠先生インタビュー★
*このインタビューは、とらのあな無料情報誌「とらだよ。vol.28」に掲載されたものです。

編集:まずこの「女子高生」を描くことになったきっかけを教えてください。

大島先生:編集さんと打ち合わせの際に雑談をするんですけど、私は自分が女子高出身ということもあって、そうした雑談の際によく女子高のウラ話をするんです。そうするとそれを漫画にしたら面白いんじゃないかって、よく言われていたんです。
それでちょうどその頃、お仕事を一緒にする事になった編集さん、今の担当さんなんですが、その方がアクション(Weekly漫画アクション)に移られた時に、新しい学園モノを立ち上げたいという事で、その担当さんから「いつも話している女子高ネタをやりましょうよ」と改めて勧められたのがきっかけです。
でもはじめはそんな長い連載は考えていなくて、とりあえず当時の事をリアルに、思い出しながら描いていました。
それと連載する事は決まっていたんですけど、私のスケジュールの都合で読み切りスタートだったですし、具体的な連載回数も決まっていなかったので、かなり向こう見ずな感じで描きはじめちゃいましたね。
実際はじめの頃は「次の掲載はいつになるでしょう」って、原稿を渡したときに聞いていましたから(笑)。

編集:以前、描かれていた「アップタウンガール」も女子高ドキュメントっぽい作品でしたけど、あの作品は掲載誌にあわせて、かなり漫画的というか、明らかにウソが入っているのがわかりましたが、今回の作品でははじめのころ、「ノンフィクション」というアオリが付いていましたけど、その点どうでしたか?

大島先生:やっぱり「あるワケないじゃん!」にしちゃうと飛び過ぎちゃいますし、「もしかしたらあるかもしんない」というところで止める、でも限界まで誇張していく、そのあたりの具合はいつも苦労しています。
それ以外に担当さんと、女子高の「女の子ばっかりだからだらしない」という抽象的なイメージだけで終わらせないで、そんな女の子たちの具体的な生活、例えば生理や脱毛対策など、さすがに男性がリアルに想像出来ないネタに対して突っ込んでいったら、面白いんじゃないかって、よく話しています。


編集:連載を続けていく過程で、作品になにか「変化」ってありましたか?

大島先生:すごくありました(笑)。
はじめはちょっとエッチなコメディーを狙っていたんですけど、でも気が付いたらギャグ漫画というかバカ漫画になっちゃいまして、もうキャラクターが勝手に動いてきたというか、1巻の終わりの頃の文化祭、体育祭のあたりから、狂ってきたというか、暴走しっぱなしです(笑)。

編集:キャラクターについてですが、設定を考える際になにか気遣ったことはありますか?

大島先生:先程お話したように、すごく設定を練って、キャラのプロフィールや学校の舞台・様子などを考えて連載を始めたわけではないんですよ。
割とテンションとネタが最優先で、それにキャラが乗っかっていけばいいと考えていたんです。
だから出来るだけわかりやすいキャラにしようということで、普通のヒロイン系に、ギャルとメガネの3人になったんです。
はじめはキャラが薄い、わかりやすいキャラクターでネタありきの漫画、いわゆるドキュメントタッチなものにしていこうと考えていたんで、キャラを煮詰めていなかったんですけど、それが描いていくうちにキャラがネタに乗っかっていくことで、どんどんおかしくなっていっちゃいましたね。
もう1巻と3巻だと全然キャラが違っているんですけど(笑)、やっぱりそれはその時その時のネタに対してキャラがどう反応するか全然変わってくるんで、正直描いてみないとわからないんですよ。だからこの子ならこうするな、この子はこんなことしないという流れが重なって重なって出来たのが今の状態ですね。

編集:はじめ常識人だった絵里子が水着を制服の下に着たまま登校するのもそうですけど、最初の頃「キャラが起っていない」って言われていた綾乃が、いまや「きゃる〜ん」って、擬音が出ているくらいですからね(笑)。
ところで読み切りで3人組だったのから、香田さんが出てくるわけですけど、彼女はどういう狙いだったんですか?

大島先生:絵里子のライバルということで1話目に登場させたのが、今ではあんなキャラに…(笑)。
やっぱりライバルというより外部から来た3人に対して内部から上がってきたお嬢様ということで、対比するキャラクターになればと思ったんですが、全然違っちゃいましたね(笑)。

編集:最初は内部生と外部生の対立をやろうとしていたんですか?

大島先生:そうですね。とりあえず最初はその対立をきっかけに高校生活に入っていって、そうした対立構造をしっかり描いていこうと担当さんとも相談していたハズ(!)だったんですけど、なんか2話目で終わっちゃいましたね(笑)。
あと特に1話ではテストや、文化祭のような学校行事を中心にネタにしていたこともあって、そうした対立構造を出せなかったこともあるんですけど、実は3話目・4話目ぐらいからすごく迷っていまして、はじめは絵里子を「スーパー女子高生」にしようと思っていたんです。

編集:それは具体的にどういうことですか?

大島先生:彼女を生徒会長にして、最初はすごく仲が悪かったヒトたちとも、なんか事件を解決していくといった感じで学校でのいざこざをまとめていくカリスマ性の高いキャラクターにしようと思っていたんです。最初の回で話していた「学校を変えてやる」といった内容のセリフがそのあたりの名残なんですけど。

編集:どこがターニングポイントだったんですか?

大島先生:さっきの「変化」の話でも言いましたけど、体育祭の話(7話)で吹っ切れましたね。
やっぱり最初はアクションという雑誌に遠慮していたんです。

あんまりすごいボケ・ツッコミをやってもアレかなって思っていまして、逆にその頃はどうエッチなネタを入れるか悩んでいました。
一番悩んでいたのは由真と綾乃がケンカする話(6話)の頃で、だからあの回はギャグも少ないんですけど、やっぱりノリが悪いんですよ。
それでやっぱりストレスがたまっちゃって、次の回の体育祭で「よぉーし描いてやる!」という勢いで描いたのがあのはっちゃけた内容で、それで一気に開き直りました。
香田にしてもお嬢様だったのがこの頃からおかしくなってきましたね(笑)。

編集:実際の読者の方からの反応はどうですか?

大島先生:担当さんから聞くと、女性の読者さんは劇中の女子高感覚にやっぱり共感してくれるところが多いみたいで、逆に男性の読者さんはその雰囲気よりもストーリーに反応してくれるみたいです。あと多少エッチな内容だと反応がいつもよりいいみたいです(笑)。
おかげさまで読者アンケートもいいみたいなんで、嬉しいです。

編集:そういえば公式サイトも出来ましたよね。双葉社で公式サイトが他にあるのは、「クレヨンしんちゃん」と「ののちゃん」ぐらいなんで、「ヤバイ!双葉社、本気だ!」(笑)って思ったんですが。

大島先生:うふふふ(笑)。
どうして出来たんでしょうね。(担当さんに)どうしてですか?

担当さん:いや、本気なんですよ(笑)。
実際、異例なことなんですが、サイトを管理している部門がありまして、そこの担当が「女子高生」のファンで、本来ならば双葉社の看板漫画だけなんですけど「ぜひ、やらせて欲しい」と提案してきたのがきっかけですね。

編集:ところでこの作品が一番長い連載になるわけですが、続けていたことで執筆作業に関して何か変化はありましたか?

大島先生:う〜ん…、特に変わった事はないんですが、テンションの高い漫画なんでそれに負けないテンションを上げるのが大変です。
あと卒業アルバムを見ることが増えました。多分一番見ていますよ(笑)。
ネタ出しに関して言えば、以前にゲームアンソロジーの仕事を沢山やったことが活きています。
具体的に言うと、依頼の中で子供向けのゲームとか「これはパロディに向いていないだろう」というようなゲームでも、「4コマを12本お願いします」というようなものがあって、そんな場合はどんなところにでもムリヤリに突っ込んで、「箸が転がっただけでもおかしい」という勢いでネタにしないといけないんです。
実際、すごく大変な作業だったんですけど、ネタを絞リ出す感覚みたいなものはその時に勉強させていただきました。

編集:確かにゲームのキャラって、ゲーム中でギャグしませんからね。

大島先生:そうなんですよ。だから一つ一つの仕草を膨らませて、それをギャグにするんですけど、この「女子高生」という作品も、その時と似た感覚で描いていますから、まるで自分たちの女子高生活のパロディ漫画をやっている感じですし、作業スタイルについて言えば、自分の最も得意なスタイルで描いていると言えますね。

編集:基本的にギャグ漫画の「女子高生」ですが、由真の妹の話(16話〜17話)は珍しかったですよね。

大島先生:そうですね。あれはずっと毎回高いテンションですと、描いていて抑揚がないというか、ネタもなくなるということもあるんですが、やっぱりノリ・ツッコミだけだとキャラを起たせる機会がなくなるじゃないですか。
それで何か新しい事件というかシリアスを入れることで、キャラに背景を持たせることができれば、もっと鋭いツッコミが出来るんじゃないかなって思って、描いてみたんです。
実際あの話の後に由真が姉御肌という感じでキャラが起ってきたんで良かったですし、そのせいか女の子からの人気が出てきましたしね。

編集:執筆しているなかで苦労している点はなんですか?

大島先生:やっぱりテンションを上げることですね。
もう思いつく限りテンションを上げる努力をしているんですよ、冗談ヌキで逆立ちとかしたり(笑)、面白いビデオを見たり、最終手段は友達に電話して、「なんか面白いこと言って」って、頼むんですけど、とにかくテンションが上がらないとどうしようもないんです。私の場合、ストーリーが「起承転結」カッチリしていると面白くなくて、むしろ「起承」まで仕上げた後、残りはフィーリングで「結末を変えてやる」ぐらいの勢いで描いたほうが面白いんで、そうなるとやっぱりテンションが頼りになるんです。
だから18ページにしないといけないのに、いつの間にか30ページになってたりして(笑)、後から削って、実は別の話に回したりしたこともあるんですけど、結構出し切れなかったネタとか多いんです。
例えば綾乃と下高谷くんの出会いのシーンとかやってみたかったネタのひとつですね。

編集:その二人についてはずっとプラトニックですけど、関係を持たせないのには理由があるんですか?

大島先生:いや別にこだわりはなくて、「関係を持たせてもいいかな」って思うときもあったんです。でもそのシーンをどう表現するかという問題もありましたし、あとずっと未体験のほうがネタとしていじくれるというのもありますね。
これから二人がどうなるかはヒミツですけど、あのカップルを通じて「女の子が持つ性欲やエッチに対する興味」というものが表現できればと思っています。

編集:最後に読者へのメッセージをお願いできますか。

大島先生:これからも応援していただければ、読んでいないヒトは読んでいただければと思います。頑張って面白いものを作っていきますので、これからもよろしくお願い致します。


取材日:平成15年5月9日
協力 Weekly漫画アクション編集部






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